♡:。.孤独だった私に手を差し伸べてくれた人がいた。―― それぞれの思い出を抱えて私は生きてゆく ――。:♡『アイノカタチ』はいろいろ♡-23-

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374  万寿はこの日を予感していたかのような素早い行動を・・ 剛の一周忌を終えた後、早々と自分の死後の財産のことを行動に 起こしていた。  万寿の後押しがあったものの芽衣は結婚せず、その後も 剛がいた頃とあまり変わらない生活を芽衣も万寿も送っていた。  芽衣は真由がもう少し大きくなるまでは子育てに専念するつもりで いたので、万寿の元へは娘を連れてほぼ毎日平日は通った。  薫とは平日の夕方からとか休日に一緒の時間を過ごした。  夕飯を済ませ、真由が寝てから帰っていたので真由は薫のことを カオと読んだりトータンと呼んだりその時々で使い分けしていた。  穏やかな時間が流れゆく中で、万寿は翌年芽衣と薫の結婚を待たずして あっけなく亡くなった。  長患いすることもなく、その死に顔は穏やかなものだった。  芽衣はあまり悲しいと思わなかった。  だって万寿は愛しい息子の剛に会えるのだから。  ちょうど剛の2周忌である4月某日の少し前が万寿の49日となり 芽衣と薫はジューンブライドにちょっぴり拘り6月某日に籍を入れた。  結婚の知らせをする為に、施設に入所している祖母に久しぶりに 会いに、薫くんと真由を連れて行った。 199
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