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俺って何やってンだろう。
俺からのプロポーズに、少しの間考える素振りが芽衣にはあった。
芽衣が何で迷っているか、本当は心のどこかで分かってたような気が
する。
俺が薫っていうヤツのことについて、芽衣と一緒にもっと親身になって
やれば、良かったのかもしれないってことを。
けど、芽衣との再婚は真剣に考えてたけど、それは受け入れ
がたかったンだ。
たぶん、受け入れたら、この先もずっと芽衣と薫との縁は切れないって
分かってたからな。
俺は薫って奴に負けたんだよなぁ。
帰りの新幹線の中、俺は敗北感にまみれていた。
なのに隣に座る百瀬は何故か、能天気に明るいじゃないか。
「な、俺が店から出た後、すぐに出てこなかっただろ?
何してたんだ? 」
「私、芽衣さんとお話しちゃった」
「なんだよ~、俺振られて今後彼女とは縁がないっていうのに。
話す意味ある? 」
「まぁまぁまぁ、機嫌なおしなよ!
芽衣さんってむちゃ、いい人だよね」
「ちっ、俺を二度も振ったヤツのことなんて、褒めねぇ~よっ」
俺は不貞腐れた態で返事をした。
振りに振った人間のことを、誉めるなんて芸当俺にはできないねっ。
芽衣がいいヤツだなんて、とうの昔っから知ってらぁ、テヤンデェィ。
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