異説七夕さま

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異説七夕さま

 猟師が仕掛けた罠に鹿がかかった。白い鹿だ。その鹿の顔は翁なって。 「助けてくれたら望むものをやろう」 「嫁がほしい」  猟師は鹿に言った。 「明日満月の夜に天女が川に水浴びに来るから着物を一つ隠しなさい。帰れなかった者が妻になるから代わりの着物をやりなさい。そして妻にしたら四人子供を作りなさい。三人だと着物が見つかった時に子供を両脇と股に挟んで帰ってしまうから、四人だと帰れない」  鹿は助けると飛んでいってしまった。  満月の夜川に行くと鹿の言う通りに天女達が水浴びをしている。  猟師は鹿の言う通りに着物を隠す。天女達が帰ろうとすると一着足りない。他の天女達が帰り着物が見つからない天女が着物を探している所に漁師が。 「着物を返してほしかったら妻になれ」  天女は妻になった。  猟師は天女との間に三人子ができた。あと一人だなと猟師は鹿の言葉を思い出す。  天女が子供達を昼寝をさせようとしていると。  ははの着物はどこにある  ちちが隠した着物かい?  ははの着物はどこにある  ちちの寝床の下にある  ちちの寝床の下にある  ははの着物はどこにある  一番上の子が歌う。  天女は猟師が寝ている場所の板を外すと箱があり、中に着物が入っていた。  猟師が家に帰る時、天女が子供達を両脇と股に挟み天に上っていくのを見た。  家に帰ると誰もいなかった。  その夜一人の坊さんが猟師の所に来た。 「宿を借りたい」  猟師が受け入れると坊さんは不思議な話をした。 「七月六日に草鞋を一日に百足編む、それを埋めその上に瓜を植えると七日に蔓が天まで届く」  次の日坊さんは礼だと瓜の種を置いていった。  猟師は七月六日に草鞋を編んだ。だが九十九足しかできなかった。まあ足りるだろうとそれを埋め。その上に瓜を植えた。  次の日瓜を植えた所に犬がいた。大きな白い犬だ。 「横着したな。可愛そうだから私が連れて行ってやる。背中に乗りなさい」  猟師は犬の背中に乗って天まで行ったのだった。
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