72人が本棚に入れています
本棚に追加
「入学式の日、相田さん、目が痛くて泣いていたでしょ?」
「あ…、うん。目にゴミが入って痛くて、偶然通りかかった槙田くんに鞄から眼鏡を出して欲しいってお願いしたよね。」
目が悪い私は大学生になってコンタクトにした。まだ慣れなくてたまたま目にゴミが入ってしまってそれがすごく痛かった。
痛すぎて勢いでコンタクトを外したけど、眼鏡がないと何も見えなくて困っていたところを、偶然通りかかった槙田くんが助けてくれたのだ。
鞄から眼鏡を出してほしいとお願いし、出してもらって眼鏡をかけたら、助けてくれた人がとてもかっこいい人で驚いたっけ…。
「うん。その時、泣いたり驚いたり笑ったり、コロコロと表情が変わる相田さんがすごく可愛いって思って、それからずっと好きだった。」
「…そ、そうだったんだ。」
そう語る槙田くんの顔は、とても優しい顔をしていて、私はまたドキドキしてしまった。
「ずっと好きだったけど、相田さんのそばには相澤がいたから…。」
相澤、というのはさっき振られた元彼。学籍番号が前後で、すぐに仲良くなって、彼から告白されて付き合った…。
「だけど別れたならチャンスかなって。こんな風に体の関係から入るのはダメだと思ったけど、相田さんが可愛すぎて我慢できなくて。ごめん。」
槙田くんは謝ってくれた。
どんな理由であれ、男の人の家に上がり込んだ時点で私も軽率だったし、何より無理矢理されたわけでもない。
「謝らないで。私も合意の上だったし…。」
そんな私の言葉を聞いて、槙田くんはぎゅっと強く抱きしめてきた。
最初のコメントを投稿しよう!