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「もう乾燥が終わってるはず。そろそろ服を着たいよね。みてくるよ。」
槙田くんは抱きしめていた腕を離してベッドから出ると、自分の着替えをさっと済ませて部屋を出ていった。
ずっとくっついていたから、温もりがなくなってしまったことを少し寂しいと思いつつ気持ちの整理をする。
彼氏の智也に振られて、雨に降られて…。
濡れてるところを槙田くんに助けてもらって。
彼に抱かれて、告白された…。
槙田くんの告白にはびっくりしたけど、嫌じゃなかった。
ゼミが一緒だから槙田くんの人柄は知っている。そこまで仲が良かったわけではないから、表面上のことしか知れていないかもしれないけど。
でもこの家に来て数時間、槙田くんはずっと優しかった。ずっと私を気遣ってくれたのだ。
それは、行為の時も…。
初めては痛いと聞くけど、たくさん気持ち良くされて、ただただ頭がフワフワして、痛みは一番最初だけだった。
こういう行為は初めてだけど、彼は慣れているのが分かったし、避妊具がちゃんと家にあるってことは経験が豊富なのかもしれない。
爽やかで誰に対しても優しくて、特定の彼女はいないと噂の彼が、経験豊富ってなんだかイメージと違う。
でもあんなにかっこいい人だから、何もおかしくはないのか…。
私が彼に思ってるような人間じゃないと告げたように、彼も私の思っているような人間じゃないのかもしれない…。
それに彼氏と別れたその日に違う人と付き合うなんていいのかな。
「はあ…。わかんないよ…。」
頭の中で考えるけど答えは出なくて…。毛布にくるまってそう呟いた。
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