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しばらく毛布にくるまっていたら、扉が開いて槙田くんが戻ってきた。
「お待たせ。服、乾いてたよ。」
「ありがとう。」
毛布にくるまったまま、乾かしてもらった服を受け取ると、フワフワで温かくて、そのフワフワ加減に思わず頬が緩む。
そんな私を見た槙田くんは、毛布ごと私を抱きしめてきた。
「相田さんって一人暮らしだっけ?」
「うん。そうだよ。」
「じゃあもう遅いし、雨もやんでいないし、今日は泊まっていきなよ。」
「え?」
そういえば今、何時だろう。部屋の時計を確認すると、もうすぐ21時をまわるところだった。
「ていうのはただの口実で、今日は帰したくないんだ…。」
時計を確認した私の表情から、槙田くんも私が何を思ったのか察したみたいで、照れ臭そうに笑うと、抱きしめる力を強めてきた。
「槙田くんは私が泊まってもいいの?」
「うん。お風呂いっておいで。」
「じゃあ、お借りします…。」
私がお風呂を借りると言うと、ふわっと嬉しそうに笑った槙田くん。
泊まるつもりなんて全くなかったのだけど、こんな風に嬉しそうに笑う彼をみたら、断ることなんてできなかった。
でも、本当にお世話になっていいのかな…。
そう思いながらも、受け取った服と、さっきまで着ていたジャージを拾い集めて、毛布にくるまったまま脱衣室へと向かった。
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