好きになった理由

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そういえば荷物、濡れちゃったかな…。そう思って確認すると、思っていたよりも濡れていなかった。 雨が降ってきた時に、荷物だけはベンチの下に入れたんだったっけ。 鞄の中から眼鏡ケースを取り出して、コンタクトを外して眼鏡にする。 画面が割れたスマホは水に濡れたことで、電源もつかないから、明日は携帯ショップに行かないと…。 そんなことを考えて、ぼーっとテレビをみながら荷物の整理をしていると、槙田くんがお風呂から出たようで、部屋に入ってきた。 「何をみてるの?」 槙田くんが私の隣に座った。彼からは、お風呂上がりのいい匂いがしてドキドキした。 「特に面白いのがなくて、適当にここのチャンネルをかけてたよ。」 「そっか。ていうか眼鏡に変わってるね。」 「あ…、寝る前はいつも眼鏡にしてるから…。」 「なんか入学式の日を思い出す。」 槙田くんは私の顔をじーっとみつめると、何故か嬉しそうに口角を上げて笑った。 「恥ずかしいから、あんまり見ないで?」 慌てて両手で顔を覆って隠す。眼鏡をかけると地味子感が増すから、まじまじ見られるのはすごく恥ずかしかった。 「眼鏡をかけてる相田さんも可愛いのに。」 槙田くんはそう言って私の頭を撫でると、立ち上がってドライヤーを持ってきて、再び私の隣に座った。
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