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「髪、乾かしてあげる。」
槙田くんは持ってきたドライヤーの電源を入れると、私の髪にあててくれた。
「じ、自分でできるよ?」
「俺にやらせてよ。こういうの、やってみたかったんだ。」
彼はとても楽しそうにドライヤーを持っていた。
髪に触れられると、少しくすぐったい感じがしたけれど、肩までの長さの髪はあっという間に乾いた。
「相田さんの髪、本当に綺麗だよね。」
彼は乾いたばかりの私の髪にそっと触れて、優しく髪にキスを落とした。
「ま、槙田くんの髪も乾かしてあげようか?」
槙田くんとの距離の近さにドキドキして、そんな気持ちを紛らわすためにそう提案をした。すると嬉しそうに、じゃあお願い、と言って笑ってくれた。
自分で提案したけれど、男の人の髪を乾かすなんて初めてのことで、槙田くんの髪を乾かすのはとても緊張した。
暗めの茶髪でパーマがかかった髪は、ドライヤーで乾かすとふわふわになって、不思議とずっと触れていたくなった。
いつも遠くから見ているだけだった彼の髪からは自分と同じシャンプーの香りがして、それもまたドキドキした。
全体的に髪が乾いたことを確認して、ドライヤーの電源を切り、そっとテーブルの上に置く。
「はい、できたよ。」
「ありがとう。じゃあ、こっちにきて。」
槙田くんはテレビを消すと、私の手を引いてベッドに誘導した。
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