72人が本棚に入れています
本棚に追加
そこからまた歩いて、次は駅に着いた。
次に来る時は、わざわざ迎えに来てもらうのは悪いから、駅から歩いて私の家に来たいと言うので道を案内した。
「今度は翔真の地元にも行ってみたいな」
《 俺の地元なんて何にもないけど、また案内するよ。恭弥が親に余計なこと言ったから、親も莉乃に会いたがってるんだ 》
「それは嬉しいけど、いざ会うとなったらきっと緊張しちゃうな」
《 でも、俺も早く親に莉乃を紹介したいかな。今すぐにでも結婚したいくらいだし 》
「もう。またそうやって……!」
顔を赤くした私の反応を見て、彼は楽しそうに笑った。
《 本当に俺は、結婚するなら莉乃しかいないと思ってる。それが何年後になるのかは分からないけど、それだけは覚えておいてね 》
「……うん」
本当に、翔真は嬉しいことしか言わない。
翔真がそう望んでくれるのなら、私はその望みを叶えたい。
ずっと翔真の隣にいたいと思っているよ……。
駅からゆっくり歩いて家に帰った。
ちょうど1時間くらいの散歩は、ほとんど家に篭りっぱなしだった私にはちょうどいい気分転換になった気がする。
家に着くと、ちょうど夕食の準備をしていた。
《 おかえり 少し手伝ってくれる? 》
そう書かれたボードを見て、私はコートを脱ぐと、翔真をリビングに案内してからキッチンに向かった。
リビングには、妹とお父さんがいた。
ここじゃ、ゆっくり休めないかな。
案内してからそう思ったけど、翔真は嫌な顔ひとつせず、父に勧められてソファに座っていた。
最初のコメントを投稿しよう!