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服の中に手を入れながら、後ろから首に軽くキスされる。
「……っ、」
声が出そうになるけど、我慢する。
だけど、久しぶりの翔真の優しい手つきに、身体が少し熱くなって、もっと触れてほしいと思ってしまう。
「しょ、うま……、もう……、」
そう言うと、翔真はピタッと手を止めた。
《 ちょっと、頭冷やしてくる 》
スマホにそう打ち込んで、上着を着て部屋から出ていった。
止まってくれてよかった。じゃないと、私だってあの先を望んでしまっていたと思うから。
まだ傷が癒えたわけではないし、あのことが、フラッシュバックする時だってある。
だけど、翔真は私を絶対に傷付けたりしないっていう安心感があるから、触れられても全然怖くて、そのことに、正直ほっとした。
しばらく、スマホをいじったりして待っていたけど、翔真はなかなか帰ってこなかった。
段々と眠くなってしまって、目を開けていられなくて、気付いたら先に寝てしまった。
夢をみた。
みるのは毎晩、毎晩、同じ夢。
智也に、身体を触られたあの時のことが、ずっと夢に出てくる。
いや、いや……。そんな風に触らないで。
痛い。痛い。気持ち悪い……。
お願いだから、もう解放して……。
大好きな彼とは違う手、違う匂い、違う声。
全てが気持ち悪い。
助けて、助けて……。
「た、すけて……、しょ、ぅ……」
助けて……。
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