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決意【翔真サイド】
莉乃の部屋から出て、リビングにいた莉乃のお母さんに少し家を出ることを伝えた後、外に出た。
辺りは暗く、街灯の灯りもほとんどない。
ツーン、と突き刺すような寒さが襲ってきたけど、頭を冷やすには丁度いい。
久しぶりに会えた莉乃は、ずっと可愛くて、何度も理性を働かせてきたけど、もう限界だった……。
あの絆創膏は俺だからくれた、とか、タイプは俺だ、とか。
莉乃には、俺ではなく、別に好きな人が聞いたけど、あんなこと言われたら……。
そのずっと好きな人が、俺なんじゃないかって期待してしまう。そんなわけないのに……。
莉乃の今までの姿は、全て演技なのだろうか。
俺が好きだと伝えれば、未だに顔を赤くするし、俺に好きだと言う時も恥ずかしがっているけど、それが全て演技だなんて思えない。
少なくても、俺のことも好きでいてくれていると思う。……いや、そう思いたい。
そんなことを考えながら、適当に歩いていると、コンビニを見つけた。
たまには莉乃にプリン以外の何かを買って行ってあげようかな。そう思って入ることにした。
夜も遅く、あまり売り場にスイーツが並んでおらず、何を買うか悩みながらコーナーをみていると、
「あ……、」
っと言う声がして、顔を向けると、こちらを見て固まっている人がいた。
俺はその顔に見覚えがある。さっき莉乃の卒アルで見た。多分だけど……、莉乃の幼馴染だ。
こちらからも目を逸らせないでいると、その人は俺に近づいてきた。
「あの、莉乃の彼氏、ですよね?」
「そう、だけど……」
俺の顔を知ってるのか……?
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