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初対面の人に奢られるのは嫌だ、そう思ったから後でお金を渡すつもりで、店の入口ので待っていると、幼馴染は会計を済ませてこちらにやってきた。
「あの、お金……」
「いいよ、150円のコーヒーくらい」
「あ、じゃあ……、ありがとう」
幼馴染はそう笑い、お金は受け取ってもらえなくて、ここはお言葉に甘えて、奢ってもらうことにした。
「それにしても、彼氏さんまじでイケメンっすね。莉乃って面食いだったんだ」
同じくコーヒーを持って、蓋を開けた幼馴染。
「いや……、まあ、莉乃はタイプだって言ってくれたんで、この顔に生まれてよかったなとは思ってるけど」
「惚気、うざいっす」
そう笑う幼馴染は、少し寂しそうに見えて、やっぱり莉乃のことが好きなんだろうなって思った。
「でも、そっちは莉乃が好きな俳優に顔が似てます。だからちょっと妬いた」
「ははっ、莉乃の好きな俳優って誰だろ?ていうか、俺、将って言うんで、よかったら名前で呼んでよ」
「わかった。俺も翔真でいいよ」
「翔真ね、おっけー」
俺は最初から敵対心を剥き出しにしているのに、将は新しく友達ができて嬉しいみたいな顔をしている。
まだ少ししか話をしていないけど、将がとてもいい奴だということはわかる。
なんていうか、莉乃の幼馴染って感じ。
莉乃もとても優しい人だから。
俺にも結衣っていう幼馴染がいるけど……。
やっぱり自分よりもずっと昔から莉乃のことを知っている存在というのは、自然と妬いてしまう。
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