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「でも莉乃の彼氏が、思っていた以上にいいやつで勝てる気がしないよ」
「それは俺も同じだよ」
「いやいや、俺はもう振られてるんだよ。翔真はもっと自信を待ちなよ」
将は一瞬、驚いた顔をしたけど、笑いながらそう言った。
「今までは自信しかなかった。莉乃を幸せにできるのは自分しかいないって思ってた。だけど今は全然、自信がないんだ」
莉乃の好きな人が、もし将だったら……。
俺はお前に勝てる気がしないよ。
「将が言う通り、耳が聞こえなくなったままだったら、俺は一番近くにいてあげられない」
残念だけど、俺はこれから大学も忙しくなるだろうし、遠距離になったら会える時間はぐっと減ってしまうと思う。
もちろん俺はどんな形でも、莉乃がいてくれたら幸せだと思うけど、あまり会えない俺の存在は、莉乃にとってプラスになるだろうか……。
「将が近くで支えてあげられるなら、その方が莉乃は幸せなんじゃないかって思ってしまう自分がいる」
莉乃の幸せはどこにあるんだろう。
どうしたら莉乃は幸せになれるのだろう。
自分の幸せより、彼女の幸せを考えたい。
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