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「水島さんだって。新しい好きな人。」
水島さんは同じ学部の女の子。モデルみたいに可愛くて、1年生ながらミスコンにも出ているような子だ。
「水島さんには勝てないなって思って…。」
七香には心配をかけたくなくて、へらりと笑いながら出来るだけ明るく話す。
「私は水島さんも可愛いと思うけど、莉乃の可愛さとは種類が違うと思う。莉乃の自然な可愛さが私は好きだよ。」
七香はすごく優しいから、そうやって私を励ましてくれた。そういえば昨日、翔真くんにも同じことを言われた気がする。
自然な可愛さ、ってなんだろう。
私は私でいいってことなのかな…。
自分に自信がない私には、どうしても二人が言うことに、いまいちピンとこなかった。
「莉乃?」
頭の中で考えていて、何も言わない私を心配した七香は、大丈夫?と声をかけてくれた。
「あ、ごめんっ。七香にそう言ってもらえるとすごく嬉しいな!」
そんな七香にはこれ以上、心配をかけたくなくて慌てて返事をした。
「昨日はどうしてたの?連絡してくれればよかったのに!」
「昨日はショックで、家に帰って着替えもしないで寝ちゃって。起きたら朝で、遅刻ギリギリだったからそのまま来ちゃったよ!」
笑いながらそう言ったけど、心の中では七香に嘘をついてしまったことに胸が痛んだ。
「そういうことだったんだ。あ!今日の2限、たしか休講だったからカフェに行かない?」
「いいね、行きたい!」
七香は私が落ち込んでいると、いつもこうやって誘ってくれる。
彼女とカフェに行くのを楽しみに、1限目の眠くて長い講義を受けた。
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