プロセルフ・アート

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 結局、個展が終わってもなお、私たちは話に耽っていた。  お腹が減りに減り、今にも体が限界を迎える予感がした。ただ、これこそが本来あるべき芸術家の姿なのかもしれない。 「今日はありがとうございました」 「こちらこそ、長話に付き合ってくれてありがとう。お互いこれから頑張りましょう」 「はい! 私も今一度、自分の作品について考えてみようと思います」  私は一礼をして、個展を後にした。  外に出ると、日はすっかり沈み、真っ暗な空間が一面に広がっていた。だが、快晴だったからか雲のない夜空には綺麗な星が数多く輝いていた。  一つ一つの星の光は小さいものだが、たくさんの光が合わさることで豪勢な様子を醸し出していた。私の芸術の人生もきっとこうなっていくのだろう。今までは一つの星に一作品だったが、これからはもしかすると綺麗な星の集合体が一作品になるのかもしれない。  夜闇という不安の中に垣間見える星という希望。  それを胸に、私は帰路を走っていった。
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