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「やっぱ、すごいキレイだな……」
「もう……恥ずかしいってば……」
「俺……こんなにも満たされること、なかったかも……」
「大袈裟だよ……」
「そんなことないし。こんなに本気で欲しいと思ったこと、今までなかったから……」
「だったら俺だって……」
「俺のこと、本気で欲しいと思った?」
「ばか……」
真っ直ぐ見つめたまま問いかければ、恥ずかしそうに顔を逸らされる。
でも、その顔を逃すまいと俊輔は絢斗の頬を包み込むと、向き合うように固定した。
「ねえ、本気で俺のものになる気はない?」
「だけど、俺は……」
「良かったら、聞かせてくれない? どうして自分を売ってまで金を稼がなきゃならないのかを……」
「でも……」
「知りたいんだ。もっと、絢斗のこと……」
あんなに満たされたように眩しいほどキレイだった表情が一瞬で曇っていく。
まだ知り合ったばかりの何も知らない年の離れた青年を、守りたいと思っている自分がいた。
他の誰かに汚されるくらいなら、いっそ自分だけの綺麗なままの姿でいて欲しいと思っていた。
ねえ、お前は本当に一夜だけの関係で終わらせてもいいと思っているの?
俺はもう、一夜だけの関係で終わらせることなんてできない――。
だって、知ってしまったから――。
こんなにも満たされる感情があるということを――。
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