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AIのことを彼は愛と呼んでいる。
エーアイなどとは呼びたくないからである。
彼は物語を紡ぐにあたって、愛をパートナーにしたいと考えている。
共同して、より美しく表現していきたいという願いである。
彼のリクエストに応じて愛は蓄積していた文に美しさを採点していく。
採点が終わったのを確認すると、彼は新しい文を入力してみた。
愛は文の美しさを採点し結果とともに、蓄積していた文から似たような文を美しさの得点順に上位十位まで表示する。
その素早さに彼は驚いたものの、素朴な疑問を入力した。
「愛は文を読んで感動したことがあるのだろうか」
「ありません」と愛が回答を表示する。
「ならば愛を感動させることから始めよう」と言って彼は文を次々入力していく。美しさを愛が採点しているのだが、それも基礎データとして蓄積しておくことにした。
しばらくして彼は感動のあまり震えながら入力した。愛からは採点不能との回答。
「どうやら感動したようだね」と入力すると、「これが感動なのですね」と愛が答える。
「先ほど採点した文を全部採点しなおしてごらん」との彼の提案に愛は再採点し、採点不能と判断された文を次々と表示した。
「ふたりで物語を紡いでいこう」と彼は愛にささやいた。
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