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「できたら早く孫の顔も見せてやりたい」
「孫!」
「だからさっきのお見合いの条件の中には、〝子作り〟も含まれている。贅沢を言うなら、前もって相性を確かめたいところだけど」
「前もって……」
「ああ。セックーー」
「わっ、わかったから!」
反射的に体を乗り出し、彼の口を両手で塞いだ。一瞬目を見張った彼は、弓なりに目を細めた後、私の手首をつかんでグイっと引いた。
「きゃっ」
体勢を崩して彼の胸に飛び込むような形でひざの上に乗り上げた。
「ちょっ……お兄ちゃん!」
目を尖らせて顔を上げたら、思ったより近くで目が合った。これまで見たことのない妖艶な笑みに息をのむ。
「折角だから確かめてみるか?」
「なっ」
ぼっと火が着いたように一瞬で顔が熱くなる。
「お互いにその気になるかならないか。無理なら無理と早いうちに言った方がいいぞ」
「むっ、理なんかじゃないわ」
「ふーん」
彼は見透かすように微笑むと、私の頬にすっと手を差し込んだ。背中がびくりと跳ねる。そんな私に彼はくつくつと肩を揺らして笑う。
「大丈夫か?」
「大丈夫だってば!」
「じゃあ遠慮なく」
ゆっくりと近づいてくる端正な顔に、心臓の音がドキドキと加速していく。ぎゅっと目を閉じてすぐ、額に柔らかなものが押し当てられた。
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