3.あの頃と同じこと、違うこと。***

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 お、おでこ……? 『相性を確かめる』なんて言うからなにをされるかと身構えたが、若干拍子抜けだ。離れていく気配にほっと胸をなで下ろした、そのとき。 「いっ!」  カプリと鼻の先をかじられた。痛みに驚いて目を開いたら、口の端を持ち上げた彼と目が合う。  からかわれたんだ!  ひどい! と抗議の声を上げようとした次の瞬間、チュッとすばやく唇を啄まれた。  一瞬なにが起きたかわからずに、ぽかんとする。それがキスだと気がつくと同時に、再度唇を塞がれた。 「んっ」  今度はさっきよりもしっかりと唇同士が密着し、相手の体温や柔らかさを感じる。じっと動かず押しつけられているだけなのに、心臓がドクドクと脈打っている。音が彼に聞こえてしまいそうだ。  あまりの長さに息苦しくなって、彼の胸を押す。酸素を求めて息を吸い込んだそのとき、噛みつくように唇を塞がれた。  ぬるりと押し入って来た彼の舌が、奥に逃げようとする私のものをあっという間に絡め取る。頬に添えられていた手はいつの間にか首の後ろに回されていて、逃げ道を封じられていた。  舌の表面も裏側も、余すところなく丹念に撫でられる。 「んっ……ふぁっ」  少しでも私が反応する場所があれば、そこを何度も執拗にこすられる。強引なようでいて、その動きは繊細かつ甘やかで、与えられる刺激に悶えた。
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