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こんなに気持ちいいキスがあるなんて……。
これまで経験したキスなんて全然比べものにならない。
すがるように目の前のシャツをきゅっと握ると、それを合図に動きが激しくなった。
歯列や口蓋の裏まで余すところなく丹念になぞられる。ぴちゃぴちゃと淫靡な水音が頭の中に直接響いた。
彼のシャツを握り締めて甘い痺れに悶えているうちに、彼の唇はリップ音を立てて離れて行った。
やっと解放された口から大きく息を吸い込む。コホッと咳込むと、背中をトントンと優しく撫でられる。
相性を確かめると言っていたけれど、私は合格なのだろうか。有って無いようなレベルの経験値しか持ち合わせていないので、どういう判定が下されるのかまったくわからない。わかったことといえば、自分と違って彼は経験豊富だということだ。
やっぱり不合格だって言われるかしら……。
胸の奥がチクンと痛んだのに気づかないふりをしたとき、背中でなにかがシュルシュルと解かれる音がした。まさか、と思い振り向くと彼の手がブラウスのリボンをつまんでいる。
「なっ」
なにをしているのと抗議の言葉を口にするより早く、大きく開いたところから手が侵入してきた。
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