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「俺の知らない香ちゃんを他の男が知っていると思うと腹が立つな」
一瞬「え?」と思ったが、それがなにを意味するのか考えるより先に、彼の手が膝を割った。
「きゃっ」
濡れた秘所に空気に触れてすうっと冷たい。じっと視姦されて、体温がまた上昇する。自分でもじっくり見たことのない箇所を見られているのかと思ったら、頭が煮えそうなくらい恥ずかしい。それなのにとろりと蕩け出すものを自分ではどうすることもできない。
「ふーん。見られると興奮するんだな」
カッと顔に火がついた。違うと言いたいのに、唇が震えて声が出せない。
「見たことのない顔をもっと見たいな」
そう言うと彼は指を蜜口に差し込んだ。
「痛っ!」
反射的に声を上げていた。突然の痛みに体がこわばる。さらに続く痛みに備えてぎゅっと目を閉じたら、手がするりと外された。
え? と目を開けたら、両目を大きく見張った彼の顔が飛び込んできた。
「まさか……」
はっと息をのむ。気づかれたことには驚いたけれど、隠そうと思って黙っていたわけじゃない。すぐにうなずく。
「なんで言わなかった」
「だって……」
もしあの場で『実は未経験です』だなんて言ったら、絶対にお兄ちゃんは私に手なんて出さない。〝ひとりの女として見てもらいたい〟という過去の自分を、十数年越しでまた打ち砕かれるなんて悲しすぎる。
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