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「So annoying(うっとうしいわね)……」
我慢しきれず心の声を漏らしてしまうと、ふたりが顔を見合わせた。
「あれ、外国人?」
バカなの? ここじゃあんた達の方が外国人でしょ。
しかも東洋人を見てすぐに日本人だと決めつけるなんて浅はかにもほどがある。そもそもシンガポールはアジアの中にある。たくさんいる東洋人の出身国を見わけるのは難易度が高い。
この手の人間には関わらないのが一番。無視を決め込んでプールサイドを目指す。
「ちょ、待っ……えぇっと、ウェイト! プリーズ!」
しつこいな。
さっさと振り切ってしまいたいのに、水の中のため思うように進まない。
両手で水をかくようにして歩いていると、後ろから肩を引かれた。
「なっ」
ぞわり、と肌が泡立つ。
「離して!」
思い切り睨め付けながら腕を振り払ったら、モヒカン男は眉を上げて目を見張った。
「なんだ、やっぱ日本人じゃん」
しまった! 言葉が通じないふりをしていればすぐに諦めるだろうと思っていたのに。
顔を見合わせたふたりは、いやらしい笑みを浮かべた。
「ひとりじゃ寂しいだろ? 言葉がわかる者同士、楽しくやろうぜ」
「余計なお世話よ」
ひとりが寂しいなんて勝手に決めつけないでもらいたい。私はおひとりさまを満喫しに来たのだ。
「強がんなくていいって。さ、あっちで飲もうぜ」
「そうそう。飲んでやなこと全部忘れちまおうぜ」
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