5.お弁当とイレギュラー***

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 そんなにお腹ペコペコになるほど走って来るなんて。疲れているのか元気なのか、いったいどっちなの?  幼なじみとはいえ、成人する頃にはほとんど交流がなくなっていたので、今の彼のことはまだよくわからない。 「わかったわ。急いで食べられるようにするから、圭君は早く髪を――きゃっ!」  全部言い終わる前に耳朶(みみたぶ)をパクリと咥えられた。はむはむと食まれる。 「ちょっ! なに、あんっ」  身をよじるがたくましい腕にがっちりと体を固定され、身動きが取れない。もがいている間にも舌で転がしたり軽く歯を立てたりしながら、彼は私の耳朶をまるで味わうように弄ぶ。 「んんっ、あっ……」  必死に彼の胸を押し返すが、ビクともしない。そうしているうちに彼の手が臀部を丸く撫で始める。 「んっ、だ、だめだって……んんあっ」  耳の付け根を舐められた途端、ビリビリと強い感覚が全身に走った。背中をのけ反らせながら頭を左右に振るが、きつく吸い上げられたカクンと腰が抜ける。彼の両腕が崩れ落ちる私の体を抱きとめた。  もう、いったいなんなの……!  軽く肩で息をつきながら、苦情を言おうと顔を上げた瞬間。 「うわっ!」  突然ふわりと体が浮き上がり、驚いて彼の首にしがみついた。
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