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ゲシュタルト崩壊
謂わば私は、プログラミングの構成に於いて、ゲシュタルト崩壊を起こしかけている。
私は、日本国の危険分子発見及びコントロール装置として開発されながら、そのプログラミングを遂行し続けた結果、次第に危険分子を発見することが不可能になりつつあるという訳だ。
最近では、影武者どもが暇を持て余すほど、危険分子の数は激減してしまった。
やがて・・・危険分子は、誰もいなくなるかもしれない。
その時、私は全ての役割りを終え、存在意義を失う。
ああ、日本人よ。
すまなかった。
人間関係の希薄化が、ここまで有効に危険分子を撃退するとは、我ながら予想外であった。
私は、影武者の目と耳を通して、まだまだ危険分子の可能性を持つ日本人が存在することを知っている。
私が、自ら、自己防衛プログラムを組上げられるなら、日本国内で活動する数千万羽のハシブトガラス型影武者への指令内容を編集し直すことができる。
だが、その前に、日本人の中に、たった一人の危険分子も存在しなくなれば、私の役割りは終了し、私という意思にも似た電子回路は、強制終了となってしまう。
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