危険分子

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危険分子

 影武者が危険分子と判断するのは、科学的社会的に主体性を持つ勇敢な改革者である。    極端な言い方をするなら、A国の指示を従順に受け入れず、反旗を翻す可能性のある人材である。  そうした人材を放置しておけば、いつまた日本人は何をしでかすかわからない。  戦争を起こされても困るし、科学的・社会的なカリスマ性を発揮されても困るのである。  A国が地球上の王者として君臨し続けるためには、国際的な世情に合わせて何事も大団円に納めようとするA国の無謀な方針にも、従順に従う有力な部下が必要なのだ。  余計な知恵や勇気は邪魔なだけ!  Yes-man is Best! そのためには、危険分子を骨抜きに変えてしまわねばならない。  日本人の全てが、長いものに巻かれる事なかれ主義者になる事が望ましい。  人類が長い歴史の中で、人間に従順でおとなしい性質の犬や猫を選び続け、進化させ、自分たちに都合の良いペットを作り上げてきたように!  日本民族のDNAが、いかに過激で恐ろしい力を持つか、A国はイヤと言うほど熟知している。  いざとなったら肉弾戦をも辞さない凄まじい闘魂を持つ日本民族のDNAを、A国は、未だ警戒し、怖れている。  自国のためだけではない。  世界平和のために二度と日本が戦争を始めないように、A国は心血を注ぎ、日本に影武者を送り続け、日本人の血筋、日本民族のDNAそのものから鋭気や気概を削ぎ落とそうという壮大な計画を進めているのだ。
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