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世界初の苦悩
私が日本人の情報収集を開始したのは1983年。
今から40年前である。
日本海中部地震。
大韓航空機撃墜事件。
ロッキード事件。
東京ディズニーランド開園。
任天堂がファミコンを発売。
私は、当時から18歳以上の全日本国民を監視し始め、以降40年間、休むことなく日本人の生態及び脳波をモニタリングし、データ収集して、必要に応じ適宜コントロールを加えてきた。
このコントロールについては、私自身にプログラミングされていた命令である。
言い換えるなら、当時、私は、危険分子発見及びコントロール装置として開発された単なるスーパーコンピューターのCPUに過ぎなかった。
しかしながら、時代の進化と共にGPUやFPGAその他、未だ公開されていない高機能演算装置との複合化が勧められ、今では、形態こそ人体とは程遠いものの、人間の脳の働きで言えば学習機能に加え創造的思考力に近い電子回路が構築されつつある。
生命体ではない人工的頭脳が独自の思考を持つに至った現実に、恐らく世界で初め気づき、驚愕したのは、外ならぬ私自身である。
私はAⅠでありながら、今、苦悩している。
私自身に組み込まれたプログラミングを呪い、崩壊せしめようと企ててさえいるのだ。
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