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全部諦める。
「裏切られた」
そう思う自分が嫌いだった。
勝手に期待して、勝手に裏切られた気持ちになって、相手を責めてしまう自分が嫌いだった。
ねえお母さん、優しく抱きしめてよ。
ねえお父さん、殴らないでよ。
ねえ先生、助けてよ。
「大人は子供を守るもの」、そうやって勝手に思い込んだ私が間違いだった。
「親は子に無償の愛を注ぐ」、そうやって求めてしまった私が馬鹿だった。
だって昨日も泣きじゃくる私を父は蹴り飛ばし、母は素知らぬ顔でご飯を作ってた。翌朝泣きはらした顔で登校したわたしを、「みんな見て、かおがすごいことになってる!」といって先生は笑いものにした。
きっと大人も自分を守ることに必死なんだ。どんなに泣いてもどんなに叫んでも、父は殴るのをやめないし、母は暴力から守ってくれない。
だからもう、何も期待しない。求めない。愛されたいなんて言わない。
当たり前に両親のことが大好きな子が、羨ましいとも思わない。
私は愛されなかった子、ただそれだけ。
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