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秋の夜長に降る闇は
繰り返しの摩擦を連れてくる
わたしがあなたに擦り寄っても
あなたがわたしに向かい合っても
これまでの傷が
ふたりの溝を埋められない
力ずくの愛は
さらなる溝を掘ることになる
完全に離れられたら
まだいいのに……
思ってもいないことを
お互い
考えては訪れる夜
また、
摩擦をおこすのだろうか
そして季節は冬となり
早足で日がおちてゆく
夕日の終わりがこわくなり
寒さを帯びた夜となる
すり減らしたふたりの心
手を伸ばしても
うっかり触れない間合いを
お互い感覚で察知してしまう
そんな、
寂しいふたりの距離
諦めと妥協で満ちた夜
疲れきった夜
凍える夜
さむいな……
もう、
昔のようにはいかないのかな
抱きしめ合うことは……
できないんだろうか
さむいな……
部屋の隅でうずくまるわたし
そこへ
洗いたてのブランケットのような
温かみと優しさを纏った
懐かしい香り
あなたの香り
あなたの温もり
背中を覆うあなたの愛に
わたしからこぼれる涙
絡めた腕にしがみつき
泣きじゃくる
あなたに促され
向かい合ってからの抱擁
こわかった夜が
寒かった夜が
色みを帯びた夜になった
ずっと
あなたの温みがほしかった
ずっと
わたしの温みをあげたかった
冬の夜はまだまだ長い
たくさん話そ
たくさんあったまろ
凍えた心を包んだ抱擁は
ふたりで溶けあう心となる
春の夜はまだ先のお話し
おわりにゃ
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