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「敵国に嫁がせていただきありがとうございます!」
私のお礼の言葉に、家族全員が馬鹿にした目を向けた。
空気読め――そんな雰囲気が漂っていた。
「私、なにかおかしいことを言いましたか?」
皇女として扱われずに、育てられること十八年。
『呪われた皇女め!』と言われ、皇宮に閉じ込められて生きてきた。
嫁ぎ先が敵国とはいえ、待っているのは、広い外の世界。
お礼を言わずにいられなかったというわけですよ。
「まさか、シルヴィエお姉様。敵国で幸せになれるとでも、思っているのかしら?」
皇帝陛下のお気に入り、妹のロザリエが、口元に手をあて、必死に笑いをこらえ、私に言った。
「そのつもりです」
変化の少ない皇宮で、楽しく暮らしてきた私。
そんな私が得た言葉は――
『ささやかな幸せを大切に』
これが私のモットーです!
そういう気持ちでいれば、どんな質素な暮らしでも楽しく暮らせるってものなんです!
たとえ、豆の粒を数えられるほど、具の少ないスープだったとしても!
でも家族は、そんな私の前向きな気持ちを容赦なく打ち砕いてくる。
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