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「恩に報いるためです。お兄様に許可を得て、兵士たちも希望する者は、こちらで住むことができるよう手配しました」
私の幽閉時代、親切にしていただいた人たちを忘れていない。
それはハヴェルも同じ。
仕事が終わった後、私の農園作業を手伝ってくれていたのを知っている。
「王宮のそばに森があるでしょう? その森の管理をハヴェルに任せたいと、アレシュ様がおっしゃっているんです」
「森を……。しかし、侍女はなんと……」
「こちらへ来るそうです。お兄様が即位され、帝国内も落ち着いたからでしょう」
侍女たちは遠くにいて、私たちの会話は聞こえない。
ここにいるのは、私とハヴェル、レネだけだった。
「ハヴェル。待つ人のいる家をお持ちなさい。この国でなら、それができるのですから」
水差しから花を手に取り、にっこり微笑んだ。
そして、ハヴェルに花を差し出した。
その花を拒まず、受け取る。
「シルヴィエ様。感謝いたします」
「お礼は国王陛下とアレシュ様に言ってください」
「この国の気候が穏やかなせいか、とても寛容な性格でいらっしゃる……」
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