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「シルヴィエ。おめでとう」
「ありがとうございます」
医療院に付属する学院への入学は難しい。
国中の優秀な人間が集まり、筆記試験が行われる。
春と秋の二回、入学時期があり、その試験を受けた。
「薬草師になるための勉強ができるなんて、夢みたいです」
アレシュ様から許可証を両手で受けとり、抱き締めた。
「努力が実るって素晴らしいですね!」
「夜遅くまで頑張っていたからな」
「アレシュ様も国王になられるための勉強をなさっているでしょう? 私も遊んでいられません」
表には出さないけれど、アレシュ様は公務をこなし、部屋では夜遅くまで勉強されている。
きっとそれは、国王陛下夫妻、シュテファン様も同じ。
神々の加護を受けているからといって、怠慢なところは、一切みられない。
唯一、ご家族で集まられるのは食事の時と、午後のお茶のみ。
午後のお茶は他国の動向や予定など、話し合いの場でもあった。
もちろん、和やかなもので楽しいものだった。
「今日はシルヴィエのお祝いも兼ねて、ここにお茶を用意してもらった」
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