3162人が本棚に入れています
本棚に追加
「敵国の皇女が、大事にされるわけがない」
「お前が持つ呪いの力で、敵国の王族たちを殺せ。そうすれば、国に戻してやる」
ラドヴァンお兄様、皇帝であるお父様は、私のお礼の言葉を冗談だと思っている。
むしろ、『国に戻してやる』が冗談ですよね?
「皇女として、立派に使命を果たすのですよ」
厄介者がいなくなると知り、笑みを隠しきれない母。
――家族にとって、私は厄介者だった。
私が生まれた日、皇宮に招かれた占い師は告げた。
『皇女が成長した暁には、帝国を滅ぼすでしょう!』
予言者ではなく、占い師。
占いって、ハズレることもありますよね?
それなのに、占い師の言葉をあっさり信じたお父様。
お父様は誕生したばかりの第一皇女を殺すよう命じた。
なにもできない赤ん坊である。
命を奪うことなど、たやすいと誰もが思っていた。
けれど、死んだのは私ではなく、処刑人たち。
占い師は再び、お父様に告げた。
『これは呪いです。第一皇女は古き神に呪われておいでです!』
古き神というのは、大昔からいる神で、なんの神なのかさえ、わからないそうだ。
最初のコメントを投稿しよう!