1 敵国に嫁ぐことになりました

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「敵国の皇女が、大事にされるわけがない」 「お前が持つ呪いの力で、敵国の王族たちを殺せ。そうすれば、国に戻してやる」  ラドヴァンお兄様、皇帝であるお父様は、私のお礼の言葉を冗談だと思っている。  むしろ、『国に戻してやる』が冗談ですよね? 「皇女として、立派に使命を果たすのですよ」  厄介者がいなくなると知り、笑みを隠しきれない母。  ――家族にとって、私は厄介者だった。  私が生まれた日、皇宮に招かれた占い師は告げた。 『皇女が成長した暁には、帝国を滅ぼすでしょう!』  予言者ではなく、占い師。  占いって、ハズレることもありますよね?  それなのに、占い師の言葉をあっさり信じたお父様。  お父様は誕生したばかりの第一皇女(わたし)を殺すよう命じた。  なにもできない赤ん坊である。  命を奪うことなど、たやすいと誰もが思っていた。  けれど、死んだのは私ではなく、処刑人たち。  占い師は再び、お父様に告げた。 『これは呪いです。第一皇女は古き神に呪われておいでです!』  古き神というのは、大昔からいる神で、なんの神なのかさえ、わからないそうだ。
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