1 敵国に嫁ぐことになりました

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 正体不明の神に、私が呪われているという。    ――ちょっと待って、その占い。適当すぎませんか?  けれど、お父様が大事なのは皇帝の地位だった。  神の呪いによって、帝国を滅ぼすであろうと告げられ、お父様はパニックになった。  もし、ここで冷静であれば―― 『無垢な赤ん坊を殺すなどできない! 逃がしてやろう』 『そうだ! まだ誰も傷つけてはいない!』  そう誰かが生まれたばかりの赤ん坊に同情し、言ってくれたはずだ。  残念ながら、赤ん坊の私に同情してくれる人は、誰もいなかった。    ――お母様でさえも、お父様の寵愛を選んで、私を捨てたのだ。   そして、私の処刑当日、持って生まれた呪いの力を発動させた。  その結果、私の周りに、処刑人たちの死体が転がることになったのだった。  たとえ、その場で死なず、運よく生き延びたとしても、私から受けた呪いは、死ぬまで消えることがなく、病弱になり、毒を受けたような症状が続く。  私を誰も殺せずに、処刑は失敗に終わった。  多大な犠牲を払ったわけだけど、赤ん坊を問答無用で殺そうとしなくてもいいと思う。
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