1 敵国に嫁ぐことになりました

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 占いは占いで、当たるかどうかもわからないのに、その判断、ちょっと早すぎませんか?  ――せめて、私の成長を待ち、どんな人間なのか判断してくれていたなら、誰も傷つかずにすんだはず。  私に帝国を滅ぼす気持ちが、少しもないとわかってもらえたと思う。  呪いが発動する条件もはっきりしないまま、死んだ人たちこそ、無念だっただろう。  そういうわけで、私を遠ざけて、呪われないようにしようという結論に至ったらしい。  だから、私は表向きは病弱な皇女。皇宮内では『呪われた皇女』と呼ばれている。 「今まで、餓死させなかっただけ、ありがたいと思え」  嫁ぐことが決まったからか、お父様は本心をポロリと口にする。 「だから、毎日の食事が、水みたいなスープだったんですね」  私もつられて、ポロリと本心を口にしてしまった。 「でも、塩味のスープをアレンジして食べるのも楽しかったですよ。庭に植えたハーブ類や野菜を加えたりして。あっ! もし、興味があるのでしたら、レシピを差し上げましょうか?」  なぜか、お父様の頬がひきつっていた。
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