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「外国へ行くのは初めてですし、嫁ぎ先が、どんな国なのか、とても楽しみです」
「シルヴィエお姉様、敵国だって言ってるでしょ! もっと絶望しなさいよっ! きっと今より、扱いはひどいわよ!」
「私への扱いが、ひどいという自覚があったということですか。それなら、敵国でも頑張れそうです」
私の言葉に、ロザリエは悔しそうに拳を震わせる。
お父様は私をにらみつけ、ロザリエを庇った。
「呪われた皇女のお前が、ロザリエに生意気な口をきくな! ふん。強がっていられるのも今のうちだ。嫁いだ後、泣くのはお前だからな」
このまま、皇宮で一生を終えるのかしらと思っていた矢先、結婚が決まった。
それも、幸運なことに、外国(敵国だけど)へ嫁がせてくれるという。
幽閉されてきた私にとって、外へ出られることが、どれほど嬉しいことなのか、きっと誰にもわからない。
「それに外国へ行けば、私の呪いを受けた人を治療する方法が見つかるかもしれません」
「帝国にでさえ、見つからない治療法が、他国にあるわけがないでしょ。それも野蛮な敵国に!」
ロザリエは冷たい目で私を見た。
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