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「兄貴ぃ。いいとこしりとりしましょう!」
借金の取り立てを慎之助に仕込んでいる。車を運転しながら闇金ウシジマくんにハマっている慎之助が意気揚々と言った。本家は“かわいいものしりとり”だ。
「いいよ。慎之助のいいとこいえばいんだろ。」
「俺は兄貴のいいとこ言いますね。」
「おう。じゃあ、てめぇから始めろよ。」
「へい!まず1個目っす!」
「おう。」
慎之助が、唾を飲み込んでデケー声を出した。
「イケメン!!」
「終わってんじゃねーかよ。てめぇ、しりとり知らないだろ?」
「知ってますって!」
「じゃなんで1発目に終わってんだよ?」
「じゃあ、じゃあ、もっかいやりましょう!」
「おう。」
慎之助が少し考えて深呼吸してからデケー声を出した。
「優しい!」
「い?……いいヤツ。」
「テヘヘ。嬉しい。兄貴ぃ。俺のことそう見えてんすか?」
「いいから続けろよ。」
「ツ?つ、つ、……ツッコミ上手!」
「ず?…ずる賢い。」
「それは悪口っすよー、兄貴ぃ!ドボン!終わりー。」
「はあ!?」
こんな気の優しいバカなやつに、借金の取り立てができるんだろうか。
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