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鬼島がワカイシュウって呼んでた人は、事む所に住んでた兄ちゃんたちのこと。だけど、今日は来ない事になった。
鬼島の電話が鳴らなかったら、夜までこの家でずっと2人だけってこと。
ひっこしも、急がないって言ってくれた。
でも、
「俺は、できるだけ早く一緒に暮らしたいけどね」
って言って荷物をまとめ続けてる。ジャケットをぬいで、腕まくりして、やる気マンマンだ。
自分が追い出したクセに、戻って来させるのも急だし、かってに決めちゃうんだ。
この部屋がなくなったら、鬼島はまたずっと「鬼」でいなきゃいけなくなるけど、いいのかな。休めないのは、ちょっとかわいそうな気がする。
だからやっぱり、昨日思ったみたいに、おれが安心させてあげなきゃ。家に帰るのが幸せって、思わせてあげなきゃ。
背中もながすし、頭もなでてあげるんだ。かくれんぼもナシ。オデムカエして、ごはんも作ってあげないと。
って言っても、今のおれには、あんまり説とく力、ないけど。
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