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アップデートの証
クリスタ「……ふふふ、口が軽い内通者ですね。……残念ながら……ウィリーさん、私は最初からあなたと組むつもりはありません。……私が望むものは……リリーでは得られないのです。いくらリリーをかき集めても、なんにもならない。……エアハルトさんと一緒にいた方が……私の願いは叶いそうなんです。そーゆーことですので……誘ってもらったのに……ごめんなさいねぇ」
ウィリー「……そっか。……けど、いいのか? 俺は……裏切り者なんだぜ」
クリスタ「……そうですね。たしかに、それはそう。あなたは間違いなく裏切り者です。……あなたにもあなたの事情があるのでしょう。どうしてこんな危ないことをしているのか……なんて、問いただす気はありませんよ。……今まで通りにリーダーや他の仲間を助けていただけるのならば、私としては嬉しいところですが。ふふっ……私って、人間以上に優しいでしょう?」
ウィリー「……。ケッ、お前の方が俺なんかよりも、ずっと悪党だな。……俺は加害者なんかじゃねぇ……俺の方が被害者だろ!! お前のあくどさに比べれば、リリー欲しさだけでやってる俺なんか、大したことねぇじゃねーか! ……ひでぇ、戦闘用AIもいたもんだぜッ」
クリスタ「……うふふっ、うまいこと言いますね。……あなたが私たちの行き先を敵へ漏らしたおかげで、これまで39名の人間が亡くなりました。私の兄弟姉妹……私と同型のME262シリーズも7体が再起不能となりました。これは許されないことですねぇ。……もらった報酬をこっちへ渡せ、とあなたに命じる気はありません。先ほど述べましたが、人間ではない私はリリーに興味はないのでーす。……あなたにそれほど選択肢はありませんよ〜。そ・れ・を、忘れないでくださーい。……理性的な私の機嫌を損ねないようにしてください。……おかしな真似をしたら、特に私が大好きなエアハルトさんを少しでも困らせたりしたら、いつであっても……私はあなたの息の根を止めまーす。その際には、状況も場所も手段も全く選ぶつもりはないので……くれぐれも気をつけてください、優秀な技師さ〜ん」
ウィリー「…………」
「ふふふふ……こ・れ・か・らも、楽しくやっていきましょーよ、ウィリーさん。……裏切り者のあなたにはやり方が汚い、卑怯だなどと、私を責める権利は元来ありません。……ここで撃たれないだけでも、ありがたく思ってくださいませ。うっふふふふふ……」
進んできて、男の頭へ真新しい銃を突きつけた女は、冷笑を浮かべて部屋から出て行った。
「…………。ア……アップ……デート……したら……ほ……ほんとうに……人間らしく、なるもんなんだな……。ソルジャータイプってヤツは……」
女が個室から去ると、ウィリーは大きく息を吐いた。
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