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待っていたもの
宿屋の個室へ戻ってきた男の耳に女の声が聞こえた。
「……おかえりなさい、ウィリーさん。外のご友人には会えたんですか?」
ウィリー、と呼ばれた男「!? ん……誰かと思ったら、なんだ、知的美人のクリスタちゃんか。……なに? ごゆうじん? なんのことだ? 俺は近所にある酒場で一杯やってきただけだぜ〜」
クリスタ、と呼ばれた女「そうですか、そうですか。人間らしいですねぇ。……他のみんなは出かけています。どこに行っても戦い戦いなので、久しぶりに羽根を伸ばそうって……私は留守番を担当しているんですよー」
ウィリー「ほぉ……そうか、そうか。……クリスタ……なぁ、俺を待ってたってことは……お前〜俺に気があるんだろ? ……違うか〜?」
「うっふふふふ……気がある? ……ま……ある意味、そうなりますかねぇ」
男へニコッとしたままの女は背後に隠していた銃を出した。
そして、男に銃口を向けた女は続けた。
「……この街にあるガンショップで売っているコレでも……至近距離で撃てば、十分すぎる殺傷力がありまーす。いつも、怪物相手にぶっぱなしている対物ライフルや汎用機関銃を使わなくても、あなたを撃ち殺せるってコトです。ふふふ……本日は休みですから……ほら、あなたはボディアーマーを装着しているわけでもありませんし。……今までありがとうございました……さようならですね、ウィリーさん」
ウィリー「なななな、な、なんの冗談だぁ!!?? おおおお、俺がなにしたっていうんだッ!!? お前、回路が狂ったんじゃないのかぁッ……ややや、や、やめてくれぇッ!!」
クリスタ「……ふふふ〜ど〜しよっかな〜」
ウィリー「ハッ!! ……ME262A2AU2!!! 我々に造ってもらった戦闘用AIを搭載したソルジャータイプの分限で、生みの親、育ての親である俺に銃を向けるとは何事か!! ……銃をおろせ!!ME262A2AU2! これは命令だぞ!!」
クリスタ「! ……うっ、うふ、ふふふっ、ふふふふふふ……ふふふっ、ふふふふ……」
ウィリー「な、なにがおかしい!? 早く銃をおろせぇ!ME262A2AU2!! 停止コードが、聞こえないのか!?」
クリスタ「ふふふふ……ごめんなさい。人間って、おもしろいこと言うんだな〜って……うふふふ〜……ふっ、ふふふ……ファクトリーからほこりをかぶったままの私達を起動し、連れ出してくれて……私達の停止コードを削除したのは、ウィリーさん、あなたでしょう? さぁ……指さしてないで両手を上げてくださーーい」
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