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性質の利用
ウィリー「……。……。……わ……わかった、わかった……よ……撃たないでくれ……クリスタ。お前……俺の正体を……知って……るんだな」
クリスタ「……少し前になりますが……あなたが怪しい者へ封書を手渡し、それから報酬を受け取っているのを目撃してしまいました。……私以外は、まだ知りませんけれど」
ウィリー「……。……そ、そうだったのか……んで、どうする? ……俺を、お前は……」
クリスタ「……。これから、どうなると思いますか? 人間って、どう考えるんですかね?」
「…………」
銃で狙われたままの男は口を閉じた。
クリスタ「ふふ……もしも、仲間のみんなにあなたのことを知らせたら……あなたは即刻、処刑されるでしょう。……私よりも感情的なのです、他のみんなは……人間というものは特に」
ウィリー「……お前……俺を撃ったあと……どうするつもりなんだ?」
クリスタ「あ……その前に……ここへ着く前の戦闘で……私が使っていた銃が失われたのをおぼえていますか? ……私が怪物にはねとばされた際、谷底へ落としてしまったんですよぉ。……戦闘終了後、私は愛銃をなくしてしまった、とその場にいた仲間へ伝え……この街に着いた日に新しい銃を探しに行ってみようかな、とみんなの前で発言しました。……コレはここのガンショップで見つけたんですけど……現在は製造されなくなったP228に似てて……それの民間用、とのことです。ふふふ、各部の形状が細かく変更されてますが……たしかに似てる、似てる。……はじめて手にした銃がP228だったぁ。P226は私の手には大きくて……腕から交換してもらわないといけなくなる。……話を戻しましょうか。あなたがいま言ったどうする、というのは……あなたを撃った私がどう、みんなへ言いわけするのか、というのを聞いてるんですよね? ……うっふふふふ。ウィリーさん……人間って、危険極まりないコトをやっていたにしても……意外と……頭は悪いままなのですねー」
ウィリー「……な、なにぃ!?」
クリスタ「こう言います。……私が一人でいたら、部屋に入ってきたウィリーさんが、いきなり私を押し倒してきたの。……身体を点検してやる、言うこと聞かないと、おとなしくしないとお前をぶっ壊すぞって。それで……やむなく自衛のために……手に入れたばかりのこの銃を……それを撃ったら……と……。なんらかの性質を利用する、となったのならば、善も悪もない。そう……実際にあなたが私へ何をしようとしたかはどうでもいい。誰もが私へ同情してくれるでしょうね。……だからこそ、ここにはベッドがあります。今回は全員に個室が与えられる宿屋をさがしてみよう、とリーダーが言ったとき、これはちょうど良い機会だと思って。……したがって、私はこのベッドが置かれた狭い部屋で、あなたの帰りを待っていたのでーす」
ウィリー「…………」
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