ロボットペット『ROBET(ロべット)』

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 それから一週間の時が経ち、再び母の家を訪れると母は笑顔で出迎えてくれた。ミーを亡くした時に見せた悲しい表情はすっかり消え去っていた。  母はROBETの名前を呼ぶ。するとすぐにROBETは腕をパタパタさせながらやってくる。瞳の色が前とは違う。ROBETは人と触れ合うことで様々な瞳の色に切り替わると書いてあったのを思い出した。おそらく母とROBETは仲良くやっているのだろう。  母から話される内容のほとんどがROBETのことだった。朝起きるとROBETがベッド横にいて、可愛らしい目で見ること。エアコンやテレビをつけてというとちゃんとつけてくれること。一定の時間になると薬を飲むことを促してくれて助かっていること。  そのほか色々なことを話してくれた。  話している最中は終始、ROBETを撫でたり、抱いたりしていた。その姿はまるで愛猫相手に見せる様子と瓜二つだった。ROBETを母に渡して良かったと思った。  私はROBETの無料トライアルが終わる旨を母に伝えると、考える暇もなく購入すると言ってくれた。これで一安心だと私は胸を撫で下ろした。  すぐに契約会社に電話し、購入の手続きを行う。こうして、正式にROBETは母の家に迎え入れられた。  その週以降、母に会う度にROBETとの生活について話してくれた。アプリに登録された写真を見せてくれたりもした。また、大層気に入った母はROBETのオプション機能についても調べたらしい。  あれほど機械に疎かった母が自らスマホで調べ物をするなんて私はとても驚いた。オプション機能には『会話機能』や『複数スマホ対応』機能などがあるという。それらを追加したいとのことだったので、私の方でも調べてみようと思った。  また、ROBETが来た事によって家も綺麗になっていった。ROBETが持つ掃除機能によって床や絨毯が綺麗になったのはもちろんのこと、ROBETが掃除する様子を見て母も頑張ろうと物の片付けをしたようだ。  部屋は整理され、埃まみれだったテレビや家電製品は綺麗になっていた。  ROBETが来たことで母は元気になり、部屋は綺麗になり、防犯面も万全になったため、良いこと尽くしだ。  活気に満ち溢れていく母を見て私も何だか嬉しくなった。ROBETを見つけてくれた息子とROBETを作っていただいた会社には感謝しかない。  そうして、母とROBETとの新しい生活は順風満帆なものとなっていた。  しかし、一年が経ったある日、その生活は終わりを告げることとなる。  母が病気を患い、入院を余儀なくされてしまったのだ。
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