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治療のために母の入院が決まり、私は実家に母の荷物を取りにいった。
家に入るとROBETが掃除をしていた。センサーが反応したのか、こちらを見ると目で
ニッコリとした表情を表現する。
私もまたROBETに向けて笑顔を向けるが、内心は穏やかではなかった。
あなたがいなければ母は……ROBETを見たことで腸が煮えくり返るのを感じた。すぐに我に帰ると膝をつき、近づいてくるROBETを抱きしめた。
「ごめんなさい。私はどうかしていたわ……」
あなたがいなければ母はもっと早く治療できたかもしれなかった。でも、あなたがいなければ母は生きる気力を失くし、治療を拒んでいたかもしれない。きっとあなたがいてくれたから全て良い方向に進んでいる。なのに、勝手に怒りを抱いてごめんなさい。
「でも、私のこの気持ちはどうすればいいのよ……」
愛好と憎悪に包まれた私の心はどう消化すればいいのだろうか。
ROBETにそれは答えられない。彼はただただ私に人肌の温もりをくれるだけだった。
ただそれだけで十分だ。彼は幸せホルモンをくれる存在なのだから。
「くよくよしちゃダメだね。よし! 母が治療を頑張っている間、私もこの家の掃除に勤しもうかしら。綺麗な家にして元気な母を迎え入れましょ!」
私が気合を入れるとROBETは体を横に一回転させて応える。
キラキラしたROBETの瞳はこれからの未来への期待に満ち溢れていた。
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