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/// 42.ある男たちの布教活動
◆西部・ラミアドルフ獣王国・ウェスト地区・某所
「よし!やはり予想通りであった」
そうな話すのはヘンゼルスという小さな体で諜報を得意とする冒険者であった。そしてもう一人がグレゴリオという男。同じように細身ながら筋肉に包まれが美ボディがそそる拳闘士の男であった。
ヘンゼルスは『蜃気楼の聖女 守護の会』の聖徒である。
グレゴリオは『ラビ様を慕う会』の騎士である。
それぞれが崇拝するアンジェとラビが、ラビの故郷に帰るという情報を得た二つのグループは、それぞれ厳選して選んだ調査員を送ったのであった。
そしてその男たちの目線には、孤児院を回って子供たちに大喜びで声をかけられながらその場を後にする二人の姿が映し出されていたのであった。今までの行動から、ここでも支援活動をしているのであろうと容易に想像ができた二人は、魔道通信でそのことをそれぞれのボスへ伝えるのであった。
それからの動きは速かった。
地元のギルド経由で情報をすぐさま集め、その中で見込みのありそうな何人かに声をかけた。
次の日には10人ほどの支援者が誕生した。
のちに二人は語る。
「何のことはない。夜中に10時間ほど、聖女アンジェリカ様と・・・」
「女神ラビ様の・・・」
「「数々の逸話をお話しただけです!」」
こうして10名ほどの熱狂的な支援者を手に入れた急遽誕生した『蜃気楼の聖女 守護の会』、『ラビ様を慕う会』のラミアドルフ獣王国・ウェスト支部は、それぞれの支援者を瞬く間に増やしていった。
その熱狂的な信仰心を糧に、今まで以上にダンジョンに潜り稼いだ分をギルドに持ちより寄付をする冒険者たち。その勢いはわずか5日ほどでギルド長ライゼンもニッコリ。となるほどの勢いであった。おかげで早い段階で土地買収などの体制が整うことになった。
そしてその二人の男は、それぞれの支部長を務めるまでになるのは、遠い後のお話。
その支援者の数はその後も増え続け、当然の事のようにこの地の貴族たちも巻き込んで、地域の孤児たちの育成だけでなく、それにより生じる正しい志を持った冒険者が増えることによる地域活性は、計り知れなき価値をもたらした。
そこに後れをとってはならないと『天使エルザたんを見守り隊』関係者も加わり、東部エルザード帝国イースト地区の3名の麗しき女性たちの神格化は進むのであった。
こうして、エルザード帝国イースト地区から遥か遠くに離れたこの獣王国でも、ラビとアンジェ、そしてエルザの数々の武勇伝が今後も勝手に広まっていくのであった。
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