襲撃と今後の対策

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 めぐみが道香に説教をし始めたところに、タクミの件を担当してくれている戸熊が顔を出した。 「石立さん! ご不安な中、大変な災難でしたね。申し訳ない」 「戸熊さん、頭を上げてください」  立ち上がってと戸熊にそう声を掛けると、道香は今回の暴漢はタクミと関係がある人物なのか、一番気掛かりな質問を投げ掛ける。 「敢えて私を狙って来たんでしょうか」 「どうやら千葉、今回の暴行犯は嵯峨崎拓海のイロらしくてね。嵯峨崎に頼まれて石立さんへの報復で襲ったことを認めています。しかし、まさかそちらのお嬢さんのことは想定外だったようですがね」  戸熊はめぐみに笑い掛けると、改めて道香に向かって頭を下げる。 「彼女のような勇敢なご友人がいらしたから今回はことなきを得ましたが、我々の捜査が至らずに危険に晒してしまって大変申し訳ない」 「いえ、このとおり大丈夫ですから本当に頭を上げてください。それで、タク……嵯峨崎はどうなりますか?」 「先の事件に加えて今回の暴行教唆も追加される可能性が高いです」 「そう、ですか」  道香は顔色を曇らせる。タクミはマサの自宅を知っていたのか、あるいは調べさせたのか。どちらにせよ、どこにいても安全は保証されない可能性が高い。それに千葉以外にもタクミの信奉者が居ないとは限らない。 「嵯峨崎の周りに、今回みたいに動く輩が居ない保証はありますか?」  思うところは道香と同じだったのか、めぐみが戸熊の顔を見て尋ねる。 「それを踏まえて捜査を進める手筈です」 「なら、まだ道香の安全は保証出来ないってことですか」  めぐみが苛ついた声で戸熊に食って掛かるので、道香はそれを嗜めると不安な面持ちのまま戸熊の顔を見て、現状出来ることは何か相談を持ちかける。  十分ほど話し込んでいると、別の警官に案内されてマサがやってきた。  遅くなってごめんと道香に断りを入れ、隣に座ると、マサはめぐみにも礼を言って戸熊に話掛ける。 「何度もお世話になります。大まかな説明は案内してくださった先日の刑事さんに聞きました。タクミの報復だということですが、他にも手管を増やしてそれを繰り返すことは考えられますか?」  開口一番にマサはめぐみと同じく、他の手段で道香が狙われることを心配した様子を見せる。 「今しがた石立さんにもお話していたのですが、今回のことで嵯峨崎には接見禁止の措置をとります。残念ながら今のところ打てる手はそこまでになります」  戸熊は頭を下げながら、拘留中のタクミの面会に訪れたのは、今回犯行に及んだ千葉だけだと言い、現状では千葉の供述から他に共謀する人物はいないと判断していると説明を続けた。 「それだけでも随分有難いです」  マサは道香の震える手をそっと握ると、戸熊にタクミの罪状について確認する。
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