「タイトル未定」

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「タイトル未定」

 それから泊まりの時は身体を合わせることが増えた。もちろん、ただ何もせずに抱き合って眠るだけの時もあったけれど。  3月に入って、和泉さんが年明けに購入した車が納車されると、ドライブをしたり、少し遠出をすることも多くなり、私たちは順調に仲を深めていた。  4月、私は3年に進級した。今までのような講義はもちろんのこと、ゼミも始まるためこれまで以上に忙しくなりそうだ。 「怜南ってどこのゼミ?」 「マーケの村田先生のとこ。4限に顔合わせ行かないと」 「うわ、あの人気ゼミ?よく入れたね」  カフェテリアで穂乃花と莉子と一緒にランチをしていると、ゼミの話題になる。他学部の莉子でも私が入るゼミを知っているようだ。 「サークルでもひとりいるもん、村田先生のゼミ。あとで紹介するよ〜」 「わー、助かる。あんまり知り合いいなくてドキドキしてた」 「穂乃花は?」 「村田ゼミの選考落ちた」  穂乃花も元々は私と同じゼミを希望していたのだが、応募人数が多かったのもあり面接でかなりの人数が落とされたという話を聞いた。 「だから二次募集で新設のとこ入ってみた。情報はないけど4年生いないし気遣わなそうじゃない?」 「まあそれは確かに」  なんとも穂乃花らしい考えだ。 「あ、ちょうど良かった!美晴(みはる)〜」  会話の途中ではあったけれど、莉子がハッと何かに気が付いたかのようにカフェテリアの入口に向かって名前を呼ぶ。 「あれ、莉子。この前の飲み会ぶり」 「久しぶり〜。ねえ美晴、村田ゼミって言ってなかった?」 「そうそう」 「この子もなの!怜南!」  そう言って私を紹介する。ピンクがかったボブヘアをバレッタで留めているとてもオシャレな女性だ。声は少し低め。 「そうなんだ!よろしく〜」 「こちらこそ。よろしくお願いします」 「怜南ちゃん、会ったことあるよね?分かるかな」  え、いつだろう。こんなに綺麗で印象的な人、会ったことあっただろうか。 「あー、そっか。クリスマスのときいたもんね」 「え、ん…?」  莉子に誘われて参加したクリスマスパーティ。記憶を辿ってみたけれど、どうしても思い出せない。 「その前に、怜南ちゃんがドレス着て外走ってるときもね。伊織と一緒にいたんだよ〜」  朱音さんの結婚式の日のことだ。待って。あの時、男の人しかいなかったような気がするんだけど。
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