第3章 深き怨み

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聖がいつものように自室の前に置かれていた膳を取るため襖を開けると… 時忠の侍女・まつ「ねぇ、聞いた?」 時忠の侍女・たけ「聞いた、聞いた。」 時忠の侍女・うめ「知盛様が武藤家のお嬢様と祝言をお挙げになられたことでしょ?」 ガッシャーン!! 聖は持ち上げた膳を勢いよく落としてしまい侍女達は… 侍女まつ、たけ、うめ「きゃあー!」 聖の部屋の前で話しておきながら… 驚きのあまり逃げ出してしまいました。 聖『…!どうして?』 知盛は裏切らないと信じていたのに… 聖の悲しみと怨みは頂点に達して しまいました。 『に、憎い!憎い!にくい、憎い! 憎い!憎い、に、にくい!憎い! 知盛様は裏切らないと信じていたのに… 憎い!憎い、憎い、憎い、憎い、憎い! どうして私の周りには裏切り者ばかりなの? 憎い、憎い!に、く、い! 憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い 憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い。 知盛様は私以外の女に愛を囁いたの…。 憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い。 私を正室にしてくれるって言ったじゃない! 憎い~! 許さない!許さない!必ずや破滅へと 導いてくれる!!! 清盛!鳴海!知盛様…いいや…知盛! 武藤家の人間!いいや…平家の一族 皆、滅ぼしてくれる!』 聖の怨みは深く… 心が壊れてしまいました…。 聖「裏切り者共、 人の純心を弄ぶなんて… 絶対に…絶対に…許さない!」 その時、聖の中からあるものが 抜け出してしまいました。 それは…聖の生き霊でございました。 聖の生き霊「ノロウ。トモモリ、 ナルミ。ヘイケ、ユルサン!」 聖の生き霊は、 片言の恨み言を発しながら 知盛の暮らす屋敷へと向かいました。
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