第4章 異世界転生した女性

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そんなこんなしていると頼兼は、 平家の兄弟とは関わり合いたくないようでいつの間にか姿を消しました。 頼兼「父上の事を雑に扱う平家とは関わりたくない…叶うならば…」 紬「あら?いつの間にか 検非違使が消えてしまいました。」 紬が驚いていると何故だか宗盛が 自信満々になり誇らしげな顔をしたかと思ったら…まさかの… 宗盛「俺のキラキラした威厳に負けたのかもしれないな。」 これにも知盛もあきれ果ててしまい まさかの病気にしてしまいました。 それは… 知盛「気にしないで下され、紬殿。 兄上は自意識が過剰過ぎる病です。」 困惑している紬に対して 兄について話したのですが、 宗盛「自意識が過剰すぎる病なんて… そんな病があるかー!」 宗盛は知盛の説明が不服なようで ご機嫌斜めになってしまいました。 さて…面倒な宗盛は放っておく事にしておくにしても…この時代では身寄りのない紬は何とか兄弟の屋敷に連れて行って貰おうと考えていました。 そこで… 『違う時代を生きていましたが、 トラブルが発生し気づいたら こちらの時代で異世界転生しました』 事情を全て話しても混乱すると考えた紬は事情を簡単にまとめて説明するつもりでした。 しかし… さすがにこんな話をしてしまえば、 2人とも聞き覚えのない言葉に 首を傾げてしまう事は必至です。 すると… 知盛「大丈夫ですか?もしかして兄上がジャラジャラ宝飾品を持ち歩いているせいで目がクラクラしてしまったのではありませんか?」 知盛は本気で紬の事を案じており  心配そうにその顔をのぞき込みました それを聞いた宗盛は、 何を血迷ったのか定かではありませんが大真面目な顔をしたまま… 宗盛「宝飾品は眩しいものだ。」 知盛「宝飾品を持ちすぎです。」 知盛はそんな宗盛に対して ただただあきれ果てていました。 紬はそんな2人の事よりも どのようにこの状況を説明するか そればかりを頭の中で巡らせていた。 何故ならば当然の事ではありますが、 平安時代末期の人に 紬「いきなり誰か分からない人に突き飛ばされ気づいたら命を落としましたが 菅原道真公が私を気の毒に思いこの時代へ異世界転生をさせて下さった。」 なんて幾ら本当の事ではあると言っても信じられるはずもなく… 平安時代末期で孤立無援だなんて 本気で命の危機となります。 そこで… 紬「田舎から出てきたばかりでして 右も左も分からずさ迷っておりました…。すると…源氏の検非違使から事情も聞かれずに突然追いかけ回されてしまいました。」 半分嘘で半分本当の状況 説明をしたのですが… しかし… 単純明快な宗盛は、 「やはり源氏は野蛮だ。 父上は頼政がいるから平家は成り立っているとは言っているが私は嫌いだ。それにしても大変だったな…」 紬の言い分を見事に信じました。 但し… 頼兼を始めとする検非違使は 怪しい人間を捕まえるのが仕事。 頼兼「私は仕事を果たしたまで…」 それに宗盛は嫌いな人間がいると、 その一族郎党まで嫌いになる性格で、 知盛「兄上!見境なく源氏に喧嘩を売るのはお辞め下され。平家の品位が疑われてしまいます。」 知盛はそんな兄に対して きちんと注意をしました。 しかし… 宗盛の源氏嫌いにもどうやら きちんとした理由があるようで… 宗盛「源氏は身内同士で命を奪い合う野蛮な一族だから…な。」 源氏は血を分けた兄弟が家督を巡り争っており木曽義仲も血を分けた伯父である義朝から暗殺されそうになり木曽へと逃げ出した経緯があります。 但し… 知盛「義朝と頼政、頼兼父子に直接的な繋がりはありませんよ?」 理由はあるものの 納得出来る理由ではなく… つまり… 知盛「兄上、決めつけはダメです。」 私情がかなり…どころか 殆ど私情な宗盛が… 宗盛「知盛は悉く私の意見に反対する」 またもや不機嫌そうな顔をしていると…知盛は紬にある提案をしました。 知盛「さて紬殿。病持ちの兄上はともかく京に定住するなら仕事が必須。」 すると… 知盛から名指し非難された宗盛が… 宗盛「知盛、 病持ちとは兄に対して無礼だぞ。」 今度は寂しげな表情すら浮かべて 弟に何か反応して貰おうとしていましたが…知盛はそんな兄より紬の事を気にしておりました。 知盛「行儀見習いも兼ねて 宮中などは如何ですか? 僕から母上に頼むとしましょう。」 紬「はい!」 時は平安時代末期とは申せ 行儀見習いと出会いの場には 宮中は最高の場所です。 だからこそ… 宗盛「もし素敵な女官がいたら 私に紹介するのも立派な仕事だぞ。紬。」 全く色恋沙汰のない宗盛は、 紬に対してもこのような事を口にし、 基本的に慌てていました。 紬「はい!」 紬は宗盛からの無茶な頼みに対しても爽やかな返事をしていました…。 なので… 知盛は心配になり紬に話をしました。 知盛「兄上の発言はまともに受け取らないで下さい。女性に全くモテないのでこの頃は手段を選んでいる余裕すらないようなのです。」 宗盛「知盛、最近私への扱いがかなり雑な気がするのだが気のせいだろうか?」 宗盛が何やら不服そうな顔をしながら 知盛を見ていましたが当人は全く聞いておりませんでした。 紬「知盛様、もし見境なく声を掛ける殿上人に出くわしたらどうしたら良いのです?」 宮中でお仕えする為のあれこれを紬から聞かれていた為なのですが… 知盛「…。そんなのは兄上くらいかと…僕は思いますが…」 解答の端々で宗盛に対する文句のようなものがにじみ出ている知盛…。 宗盛「知盛! しかし…それなら安心だ。 私はお子様に興味はないからな…」 女性に対してお子様扱いをする困った発言を聞いた知盛は頭を抱えました。 知盛「兄上が女子にモテない理由がいまようやく分かりました。女の方に対してお子様扱いをするのは1番最低な発言です。」 知盛の言葉を聞いた紬も 隣で大きく頷いておりました。
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