第5章 猫パニック?

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第5章 猫パニック?

時は鳴海の逝去から約1年が経った 西暦1170年05月20日の事になります。 宗盛「清子は…清子は無事なのか?」 知盛が正室である鳴海を喪いながらも 紬という新たな伴侶を得て少しずつ 前に進もうとしている頃、 今度は宗盛の正室である清子が 出産の時を迎えておりました。 宗盛も祝言を挙げたばかりの頃は、 清子の熱愛に辟易しておりましたが この頃はそんな清子の事が何やら 可愛らしく感じるようになったようで 宗盛「清子…!」 まさか清子も鳴海のように死んだりしないのか?と考えると夜も眠れない程でした…。 清盛「宗盛なら生き霊になる程、 恋い焦がれる女なぞおりはせん…」 本人の前でも容赦ない言葉を口にする清盛ではありますが清盛は清盛なりに 宗盛を安心させようとしていました。 宗盛「総帥、それはさすがに酷いです」 宗盛は泣きそうになっていましたが そんな宗盛に対して知盛は、 知盛「案ずる事はありませんよ。 きっと大丈夫です。」 紬と寄り添いながら太郎の頭を撫でながら知盛はとても幸せそうに微笑んでおりました…。 宗盛「そなたはお産で 正室を喪ったではないか?」 宗盛が悲しげな顔で知盛を見ると、 知盛は吹っ切ったような笑みを浮かべました。 知盛「あの時は辛かったですよ、それこそ身を裂かれそうなほど…。しかしいつまでも落ち込んでいては鳴海が成仏出来ませぬ。」 その時、清子の出産を担当していた 薬師の芳御前が… 芳御前「宗盛様、母子共に健康でございまして清子様が宗盛様にお子の名を付けて頂きたいからお連れ下さいと仰せです。」 宗盛を呼びに来ました。 知盛「兄上…おめでとうございます。」 紬「義兄上様、 おめでとうございます。」 宗盛は愛しさが爆発して 清子の元へ駆け出していきました。 しかし… 芳御前「お静かに願います!」 場をわきまえない騒々しさに 芳御前から叱られてしまいました。 知盛「こんな時まで…兄上は…。」 紬「知盛さん、 あんまり言っちゃダメです。」 2人は太郎を優しく抱きしめました。 ちなみに宗盛と清子の子どもは 秈千代(せんちよ)となりました。 知盛「兄上、何故秈千代なのですか?」 後日、宗盛らの居室に紬を伴い 訪れた知盛に名前の由来を聞かれた 宗盛は秈千代の頭を撫でながら 優しい笑みを浮かべました。 宗盛「秈は私の幼名・秈五郎から取り千代は清子の幼名千代菊から取った。先の見えない時代だからこそ秈千代の名前の中で寄り添いたい…とな。」 紬はその話を聞くと、 知盛の手を繋いで微笑みました。 紬「私も知盛さんを 愛した証が欲しいです…。」 知盛「それは分かっているけど…」 宗盛「紬も母になりたいよな?」 知盛「だが… 太郎の世話もして貰わないと…。」 紬「それは…きちんとします。」 優月はうつ向きました…。 太郎は確かに愛しい。 先妻の子であるとはいえ愛しき知盛の血を受け継ぐ子であるから。 だけど… やはり自らの血と知盛の血を 受け継ぐ子が欲しいと願ってしまうのが女心でございます…。 知盛「そうだな…。」 すると… 知盛は何やら考え事を始めました。 紬「知盛さん…?」 すると… 知盛は紬に優しく微笑みかけました。 その瞬間、 紬は心を決めました。 『本当の意味で知盛さんの妻になるため秘密を今宵打ち明けよう。』 その日の夜、 昼間覚悟を決めた紬は、 知盛に秘密を打ち明けました…。 紬「知盛さん、 聞いて欲しい話があります。」 知盛「もしかして君のことでしょ? 違う時代から来たとか?」 知盛はどことなく 分かっていたようです。 紬「なんで?分かったんです? 違う時代から来たというのもあながち間違いではありませぬが…私は違う時代で不慮の事故に遭い異世界転生を果たして今、ここにおります。」 知盛「…何だか複雑だけど違う時代から来た事は何となく分かったよ。 幾ら田舎でもこんな不可思議な衣装 着ないでしょ?」 さすがに高校生の制服姿は、 確かに平安時代では不思議な 衣装になります…。 紬「確かに不思議な衣装ですね、 知盛さん、これは誰にも言わないで下さいね…。検非違使に捕まるのだけは絶対に嫌ですから…」 すると…知盛は何やら複雑そうな顔をしながら話を続けました。 知盛「人の話は最後まで聞いて欲しい。ここからが重要なんだから… それに僕は好いた人の秘密を他の人には言わなくても良いと思っている…。」 好いた人…と言われた瞬間、 紬の中で何かが痺れたような 初めての感覚がしました。 だけど…その感覚は むしろ嬉しい感覚でした。 紬「初めて好いた人って 言ってくれましたね?」 知盛「そうか…?で、 どの時代で生きていたの? で、異世界転生ってなに?」 知盛は何やら 興味津々な顔をしながら 矢継ぎ早に紬へ質問をしました。 紬「知盛さん、 どの時代からって分かるんですか?」 知盛「分からん。」 よく分からないのに聞く知盛が、 紬には何だか新鮮に感じました。 知盛「異世界転生ってなに?」 紬「それを聞いたとしても、 知盛さん、分かりますか?」 知盛「分からん。」 知盛と紬は、 初めての夫婦漫才をしていました。 紬「では…分からないのに、 なんでお聞きになるのですか?」 紬が知盛に対してこのような質問をすると知盛は…
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