第8章 建礼門院入内

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知盛が言った通り、 意外となんとかなるもので… 徳子が入内するとすぐ高倉帝が 唐猫の三毛を抱いて徳子の局である 藤壺を訪ねて来ました。 高倉帝「藤壺の女御、おるか?」 入内した事により徳子は、 平徳子から建礼門院徳子と名を改め 藤壺という局を賜りました。 にゃー。 三毛の声に寄宮も にゃーと返事をしましたが…。 双方とも顔を見合わせると… いきなりの… にゃー! 猫パンチ! ニャニャニャン! 猫パンチ! ニャー! からの 猫キック! ニャン? しかし… 双方とも足が短いため バランスを崩し…転けました。 それにも関わらずバチバチ火花を散らす双方に堪らず高倉帝は三毛を抱えて 高倉帝「三毛、辞めないか?」 喧嘩の仲裁に入り徳子も寄宮を抱えて けんかを仲裁しました。 徳子「寄宮、貴方もダメよ。」 双方の主人に怒られ双方とも反省したのかニャン…と頭を垂れました。 高倉帝「徳子殿、すまない。もしかして寄宮も男の子なのか?」 高倉帝が三毛を抱き抱えながら徳子と 話すと徳子も膝の上に寄宮を座らせながら… 徳子「はい、そうです。」 高倉帝「猫同士も仲良くなれたら 私は嬉しいと思う。それに我らは 夫婦であり従姉弟なのだから…。」 徳子「とても恐れ多いお言葉に ございまするがとても嬉しゅうございます。」 徳子と高倉帝が寄り添おうとした途端。 ニャー! ニャンニャン! またもや徳子と高倉帝の愛猫達による 猫ねこ大喧嘩が始まりました。 高倉帝「三毛!仲良くしなさい。」 徳子「寄宮、貴方もよ。」 ニャン…ニャン。 またもや双方の主人に怒られた二匹は 反省したかのように見えましたが…。 にゃー! ニャンニャン! 徳子・高倉帝「ダメ!」 もしまた隙あらばまた喧嘩をするつもりの困った二匹でした。 三毛と寄宮の最悪な出逢いは さておき 高倉帝「三毛…。三毛は可愛らしい。」 高倉帝は大の愛猫家ですので、 政務の合間はいつも愛猫である唐猫の三毛を撫でていました。 それは… 徳子の入内後とて同じ事…。 ゴロニャン。 三毛も気持ちよさそうに高倉帝の腕の中で夢うつつの状態でした…。 高倉帝付きの女官・辻咲 「帝、そろそろ徳子様の局に参られる刻限にございまする。」 女房に告げられ高倉帝が玉座から 腰を上げると三毛は玉座の間を飛び出してしまいました。 高倉帝「また逃げ出してしまいましたな。三毛はよほど寄宮が苦手なのかもしれませぬな。やれやれ。」 高倉帝は困り顔をしながらも 女官に告げました。 高倉帝「朕は徳子の局に行きますから知盛殿と宗盛殿に三毛を探すよう伝えて貰えますか?」 女官・辻咲「必ずやお伝え致します。」 高倉帝「さて…徳子と寄宮が待っていますからそろそろ参りましょうか。」 優しく微笑みながら御簾を上げ 高倉帝は玉座の間を後にしました。 女官・辻咲「行ってらっしゃいませ。」 言伝を頼まれたは辻咲は、 知盛と宗盛の姿を探して 東奔西走していました。 辻咲「あら? どこへお行きになられたのかしら?」 辻咲がキョロキョロと周囲を探していると後ろから「げっ。」と言う御下品な声が聞こえてきました…。 そのようなお下品な言葉を遣うのは、 ただ1人でした…。 それは… 辻咲「何ですか?宗盛様。 人を御覧になられた途端にげっとは。御下品ですよ。」 宗盛「また…唐ちゃんですか?」 知盛「兄上…。唐ちゃんではなく、 唐猫の三毛ちゃんです。」 宗盛「三毛猫の唐ちゃんだろ?」 知盛「どうして猫に唐ちゃんなんて 付けるんですか?」 どれだけ時を経ても宗盛の物覚えの悪さだけは相変わらずでございました。 猫騒動の次はあやかし騒動。 そしてまたもや猫騒動。 色々振り回されてしまう兄弟なので ございました。 宗盛「待てー!唐ちゃん。」 知盛「ですから兄上…。 三毛ちゃんです!」 このやり取りも 幼い頃から変わりません。
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