第11章 鹿ヶ谷の陰謀。

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知盛「ここはどの辺りだ?」 力丸「恐らく西光殿の別宅かと?」 知盛「今すぐ燃やしてくる!」 重盛「危険だ、燃やしたりすれば紬も無事ではすまない。落ち着け。」 知盛「しかし…。」 とうとう居場所が露見した西光の別宅にいる紬はと言いますと…。 師経「足りないなぁ…。 紬が足りない。」 人が見ていると言うのに紬の額やら 頬やら唇やらに口づけをしまくっているのに…まだ足りないという貪欲過ぎる師経。 そんな時、 西光が出仕が終わって 部屋に入って来ました。 西光「式神が張られている。」 西光は太刀を鞘から取り出すと 壁側にある空を斬りました。 そこからハラリと真っ二つにされた 式神が落ちてきました。 師経「まさか…見られていたのか?」 師経はガタガタと震え出しました。 師高「知盛が見ていたら大変な目に 遇うだろうな。」 師高にからかわれた師経は、 どうやら開き直ってしまったようで… 師経「どうせなら紬を堪能する。」 西光「師経、なんでも良いから牛車に 乗れ。人の前でするな。」 そうして西光と師高、 師経は皆と別の牛車に乗り紬に 口づけをしまくっていました。 紬『知盛さん、助けて。』 紬は心の中で愛しき人を 呼び続けました。 すると… 師経は誰も見ていない事を良い事に… 師経「紬は私の子を宿すべきだ…」 無理矢理紬を我がものにしました。   紬「…」 紬は悲しみのあまり言葉にならず 知盛の事を強く想いました…。 知盛「うん?紬?」 西光の別宅に紬を取り戻そうと 宗盛らと共に乗り込もうとしましたが 紬に呼ばれた気がして振り返るも 当然ながら…誰もいません。 宗盛「知盛、必ずや紬ちゃんを 連れ戻そうな。」 知盛「当然、盗られた姫は取り戻す。 紬の居場所は僕の腕の中ですから。」 宗盛「私がもし清子にそんな事を言ったら怒られるんだろうな…。姿見を見てから物を言えってさ。」 知盛「紬!」 知盛らが西光の別宅に乗り込んだ 時にはそこはもぬけの殻でした。 知盛「紬…。」 知盛が嘆き悲しんでいると真っ二つに 斬られた人形の紙が落ちていました。 力丸「式神がこんな姿に…。」 落ち込む陰陽師でしたが紬を助けるため落ち込んでばかりもいられません。 佐吉「式神!現出!」 佐吉が再び式神を出すと 驚くことに式神は西光に裁断された 式神であった紙に寄り添ったのです。 力丸「西光を追え!」 力丸が命令を降すと式神は、 牛車が通った痕跡を発見し 追いかけ始めました。 ところでこちらは西光らに捕らわれた上、師経に我がものにされた挙げ句、口づけをされ続けへき易している紬… 成経「知盛殿の継室を奪ってこんな事をするなんて…なかなか危険な匂いがして楽しげですね…。」 楽しげ…などとよく言えたものだ。 紬にとっては身を斬られるよりも 苦痛である。 師経「成経殿、紬は私のものだ。 想いを遂げた時点で我が妻と同じ事。 成経殿は美形だから好きになられては 困りますからな。」 成経ならば重盛の正室である経子の兄である為助けてくれるはずと思い込んでいた紬でしたが… 成経「こちらは、 鹿ヶ谷にある私の別宅です。」 成経は紬の期待を裏切る台詞を 次の瞬間告げたのでした…。 それは… 成経「基本的には自由に使われて構いませぬが…師経殿は紬殿と同じ居室で過ごして下され…」 紬は成経から告げられたその言葉に 驚愕すると同時に失望しました。 決して紬は師経が好きではないし、 知盛しかその眼中にはありません。 なのに…無理矢理想いを遂げられた挙げ句の果てに口づけをされまくる事は憂鬱以外の何ものでもありません。 さて30日、 後白河院が鹿ヶ谷にある成経の別宅に 後白河院が極秘で訪れました。 成経「院、どうなさいました?」 後白河院の後ろには1人の武士が控えておりました。 後白河院「清和源氏の流れを汲む多田行綱よ。行綱、ここにいるのが我が重臣達である。1人困ったのもいるのだが…。」 後白河院の視線の先には あまりの苦痛に耐えきれず人形のようになってしまった紬と… 師経「ああ、紬、可愛い、紬。 紬は私の妻だから…たっぷり口づけをしてあげるよ…嬉しすぎて言葉にならないかな?」 紬が人形のように無になっても 口づけをし続ける師経がいました。 行綱はその異常な光景に胸を痛めましたが分からないように紬の身元を聞き出す事にしました。 行綱「あの女人はどちらの方です。」 成経「あれは平 知盛の継室である 紬ですよ。師経殿がいたく気に入りましてずっとあの調子です。」 師経「ああ、可愛い紬。 ああ、もっと口づけをあげるよ。 もし懐妊したら双子を産んで欲しいな。私と紬によく似た双子。考えるだけで幸せいっぱいだな…」 行綱はあまりにも不憫な紬を見たくないので目を閉じていました。 すると…後白河院が 「どうした?今から平家をこの世から抹消するための作戦を考えると言うのに…。それにしてもようやく清盛も動くようだな。延暦寺を攻撃すれば延暦寺側も分かるであろう。」 行綱「…。」 行綱はあまりに大それた計画に恐怖すら感じてしまいました。 師経「私の紬、ああ、本当に可愛い。 明日の夜になったらもう1回、私のものになって貰うよ。双子を産んで欲しいからね…。」 行綱はあまりに恐ろしい計画と人への 思いやりが無さすぎる人達と組む事など出来ませんでした。 行綱『君は必ずや夫君の元に帰すから 安心してね。』 師経「可愛い紬。もっと口づけをしたら笑ってくれるかな?だったらねぇ。」 こんな地獄のような光景を見せつけられた行綱はすぐさま平家の元へと向かいました。
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